遺言書の付言事項はおまけではない

遺言書の記載事項には大きく分けて、記載することによってその内容が法的に効力を与えられる「法定遺言事項」と記載しても何ら効力の得られない「付言事項」があります。

 

 

法定遺言事項とは

以下の1~15が法定遺言事項とされています。

  1. 認知
  2. 遺贈と寄付行為
  3. 未成年後見人の指定、未成年監督人の指定
  4. 相続人の排除及び排除の取消
  5. 相続分の指定又は指定の委託
  6. 遺産分割方法の指定又は指定の委託
  7. 遺産分割の禁止
  8. 相続人相互の担保責任の指定
  9. 遺言執行者の指定又は指定の委託
  10. 遺贈減殺方法の指定
  11. 遺言の撤回
  12. 特別受益の持ち戻しの免除
  13. 祭祀承継者の指定
  14. 信託の指定
  15. 生命保険金受取人の指定・変更

 

ですから、これ以外の事柄を記載しても法的にはなんら影響を与えないということになります。しかし、「付言事項」には法的効力とは違う、もっと別の効果があるのです。

 

相続を争族としないために

兄弟姉妹を除く法定相続人には、『遺留分』の制度が適用されます。遺留分は相続人に与えられた最低限の保証であって、減殺請求することによって侵害された遺留分を取り戻すことができるのです。

たとえば、妻と子の二人が相続人であった場合、法定相続分はそれぞれ遺産の1/2づつとなります。また、遺留分はそれぞれ1/2の1/2で1/4づつとなります。

 

ところが遺言書には、「妻に遺産のすべてを相続させる」旨の記載があったとします。子としては、法定相続分は無理としてもなんとか遺留分だけでもと考えるでしょう。

そこで、子は妻(子の母)に「遺留分減殺請求書」なるものを送りつけるやも知れません。

 

遺言をした夫(被相続人)にしてみれば、子の遺留分を侵害してまでも妻に遺産のすべてを残してやりたいと考えてのことだったはずですが、これでは遺された妻と子の関係を悪化させるだけになってしまいかねません。

そこで、遺言書の付言事項に、なぜそのような考えに至ったのかを書いておけば、それを読んだ子は納得して減殺請求しないかもしれません。

 

もちろん、いつもそのように上手くことが運ぶとは限りませんが、自身の『想い』を残された遺族に伝えることで、いらぬ諍いを避けることことができるかもしれません。

 

したがって、遺言をされようとする方には「付言事項」を利用して、遺族に自身の『想い』を伝えることを強く推奨いたします。