交通事故の被害者は必ず損害賠償してもらえるのか?

交通事故の被害者となってしまった方々の心痛は計り知れません。もちろん加害者側としても刑事罰や損害賠償などの問題が山積して、それまで平穏だった日常が一変してしまうこともあります。そして、どのような事故であったとしても最終的には『お金の問題』として残ります。

 

 

損害賠償請求するための要件とは

さて、表題にある損害賠償についてですが、被害者側が加害者側に対してこの損害賠償を請求するためには法的な根拠が必要となります。被害者側からすれば、痛い思いをさせられたり、物品を破損されたりしたのだから弁償してもらって当たり前と考えるのが普通でしょう。しかしながら、理由の如何を問わず他人(加害者)に対して金銭を請求するためには、それ相応の要件が必要とされるのです。

他人の行為によって何らかの損害を被った場合、その他人の行為が民法709条の『不法行為』に該当するためには次の要件を満たしている必要があります。

 

まずはじめに、その行為をした他人に『責任能力』があることが必要となります。たとえば、行為者が幼児であった場合には責任能力はありませんので、本人に対しては賠償請求できないのです。もっとも親等の監督義務者が責任を負うことになることはあります。

次に、行為者に故意・過失があったことが必要とされています。故意とは、「わざと」やったということであり、過失とは、「注意を尽くしていれば事故を起こさずに済んだのに、そうしなかったために事故を起こしてしまった」ということです。

さらに、被害者の生命・身体や財産などの権利が害されて実際に損害が発生していなければなりません。

最後に、その行為と損害が発生したことに関連性があること、『相当因果関係』があることが必要とされます。つまり、「行為者がそのような行為をすれば、普通に考えれば事故が起きて当然」だったという関係にあることが要件となります。

 

損害賠償請求するためにもっとも障害となるのは、これら四つの要件を被害者側で証明しなければならないということです。なかでも二番目に挙げた行為者に「故意・過失」があったということを証明するのは困難を極めることが多いことから、損害賠償請求しても立証できずに終わることも多かったのです。

 

自賠法での立証責任は加害者側にある

そこで、このような被害者の救済を目的として制定されたのが自動車損害賠償保険法(自賠法)です。

自賠法では、被害者側(運行供用者)は生命・身体を害されたことを加害者側へ主張すればよく、民法のように加害者側の故意・過失を立証する必要はありません。加害者側で以下の三つの要件を立証しない限り、加害者側(運行共用者)は賠償責任を免れないのです。

①自動車の運転や走行に関して注意を怠らなかったこと

②被害者または運転者以外の第三者の故意・過失によって事故が起きたこと

③自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと

 

自賠法は人身事故にのみ適用される

この法律ができたことにより、それまで救済されなかった被害者が賠償を受けることが容易になりました。ただし、自賠法が適用されるのは人身事故のみとされ、車両や建造物の破損などについては従来通り、民法の不法行為責任を追及するほかはありません。